脊髄内の偏位した空洞が体幹筋の機能低下を招きそれが側弯の原因になっているとの報告があります。(13)当院にて脊髄空洞症と側弯症が併発した8歳の患者様に対して体幹筋を中心とした運動療法を行いレントゲン画像上6か月で7度の改善が見られました。脊髄空洞症と併発する側弯症は脊髄空洞の自然寛解とともに改善することもある一方、側弯が進行しやすく脊髄空洞がない場合に比べて手術になる例が2倍になるとの報告があります(11)。本症例は脊柱トレーニング研究会学術集会にて症例報告をさせていただきました。脊髄空洞症と側弯症が併発されている患者様は是非ご相談ください。遠方の患者様はオンラインで見させていただけます。
側弯症の運動療法
側弯症に特化した運動療法があります
当院では、シュロス法、姿勢改善、体幹トレーニング、EMSで、一人一人にあわせた側弯症を改善させる運動療法を行っています。完全個室で、落ち着いて運動していただけます。ご家族の方はそばで見ていただけます。鏡やモニターで自分の体がどうなっているのか見ながら運動をしていただけますので、自分のよい姿勢を自分で見ていただけます。
側弯症に対する運動療法は日本では保険適用にならずあまり提供されていませんが、海外特にヨーロッパでは運動療法の有効性が報告されており、ドイツではシュロス法、イタリアではSEASといった側弯症に特化した運動療法が装具療法、手術療法とともに不可欠な治療の選択肢になっています。
1.自分の体がどのようになっているのかを知る
2.側彎を助長するような生活習慣をなくす
3.座位、立位、歩行、寝るとき良い姿勢にする
4.矯正運動をする
1人1人原因は異なりますので、原因となる要素を取り除き、
その方のカーブに応じた矯正運動を正しくできるよう一緒に取り組みます。
急激な力を使った矯正や、強い運動は行いません。
側弯症とは
背骨が回旋を伴いながら左右に弯曲して、姿勢をまっすぐにしても背骨がまっすぐにならない状態のことを構築性側弯症といいます。先天性や神経・筋原性の病気、レックリングハウゼン病などに伴うものと、原因となる病気がない特発性側弯症に分けられ、側弯症全体の80~85%は特発性側弯症となっています。
側弯の原因となる要素には主に以下の6つがあります
これらの要素はお互いに関係して影響を与えます。例えば非常に軽微な脚の長さの違いがあり、同時に体幹の筋力が弱く痩せていると、少しの骨盤傾斜をきっかけとして支える筋力が弱いため脊柱が側方に弯曲しやすくなります。
背骨の弯曲が少ない・やせ型である
背骨を横から見た時、緩やかに前後のふくらみがあるとより安定して体を支えることができます。腰の前弯が少なく、腹横筋などの体幹筋が弱いと腰部が不安定になります。胸椎の後弯が少なく、胸板が薄いやせ型だと心臓と胸椎を収める幅が足りず、胸椎が右に弯曲する原因となります。
左右の脚の長さが違う
左右の脚の長さに差があると、水平な地面に立った時に、骨盤が短い脚の方へ傾きます。すると骨盤から出ている腰椎が斜めになり、まっすぐ立とうと体を立て直すと腰椎に側弯が形成されます。柔軟性が高かったり、体幹の筋力が弱いなどの要素が加わると胸椎にも側弯ができることがあります。
骨盤の大きさに左右差がある
骨盤の大きさに左右差があると座ったときに骨盤がどちらかに傾いてしまいます。すると腰椎が傾き、身体をまっすぐに立て直すと腰椎に側弯が形成される原因となります。座っている時間が長いほど影響は大きくなります。
繰り返し長時間同じ動作姿勢をしている
赤ちゃんをいつも右の腰にのせて抱っこし、身体を左に寄せている、いつもどちらかにもたれている、重いリュックを背負って首が前に出ている等、繰り返しの動作、長時間の特異的な姿勢は偏った脊柱の形ができる原因となります。
体幹の筋力が弱い
背もたれにいつももたれている。歩くことがすくない。歩幅が小さい。階段を使う事が少ない。このような日常の習慣は骨盤を支える腸腰筋という筋力が弱く、短くなる原因となり、骨盤の前傾、後傾、不良姿勢を形成します。
真っすぐ立っていない
写真で自分を見るとどちらかに傾いていたり肩が下がっていたりしませんか?真っすぐ立っていると思っていても真っすぐ立っていないことがよくあります。正中線からずれて立っていると側弯を助長する原因になります。
側弯症は細身の女性に好発します
特発性側弯症の中でも思春期特発性側弯症は、細身の女性に多く発生します。(90%が女子(1)、BMI17以下で3.6倍以上(2))立位体前屈がしにくい(2)という報告もあります。脊柱を支える筋肉量が少ないのに、身長がより高くなる場合に起こりやすくなっています。
最近は学校で運動器検診があり早期に発見されることが多いですが、以前は運動器検診がなかったため、自分で気づくことなく成人され、腰の痛みなどでレントゲンをとったときなどに気づかれる方もおられます。
当院での症例-思春期特発性側弯症-
当院で治療させていただいた12歳女性(大津市)のレントゲン画像です。左が初診時、右が3か月後です。胸椎のカーブが著明に減少しています(コブ角33°→18°)この患者様はカーブ進行の可能性が90%※で来院時にも進行しておりました。装具療法が必要でありゲンシンゲンブレースを出来るだけ長時間装着され、毎日15分以上シュロス法などの運動療法に取り組まれました。ご両親の熱意とご本人の頑張りで短期間に非常に良い変化を得ることができました。
※Report of the prevalence and natural history committee. Scoliosis Research Society 1982に基づく
―疼痛回避性側弯症-
20代男性(東近江市) 座っていると前立腺炎による痛みがあり、それをよけるよう上体を右に偏移させて生活していたところ座位による痛みが徐々に強くなりました。同時に腰部椎間板ヘルニアを併発し立っているのも辛くなり、ほぼ2年間多くの時間を横になって過ごされていました。整体なども通われましたが変化がなく、運動療法を試してみようと来院されました。四つ這いやハイハイなど赤ちゃんが立って歩くために行う運動から行い、その後腰椎の前弯を回復させるためマッケンジー体操などを中心に運動療法を行いました。ご本人は運動を本当によく頑張られました。ご家族に辛抱強く見守っていただけ初診から1カ月後体が3分だけ真っすぐになりました。それまで2年間ほぼずっと歪んだ状態でしたので本当に奇跡の瞬間だと喜ばれました。その後運動の内容を体力の回復とともに徐々に変え今では起きている時間はほぼまっすぐの状態で過ごすことができるようになり、3.5km以上走ることができるようになっています。(ご本人の許可をいただいて掲載しています。)
胸椎、腰椎のダブルカーブの改善例
10代男性(宇治市)胸椎に右凸、腰椎に左凸のカーブがありました。右の腸腰筋に弱化がありました。また脊柱の生理的弯曲(胸椎後弯、腰椎前弯)が少なく横から見て背中が平らで、仙骨は傾斜が強くお尻がでていました。お母さまのとても熱心なサポートとご本人に治してやるんだという強い思いがあり、座る姿勢、立つ姿勢への意識と矯正運動にコツコツ取り組まれました。おかげで胸椎、腰椎共にカーブが改善し、頸椎の左傾斜もなくなりました。少しカーブが大きくなると装具療法も考慮しなければならないと言われておられましたが、この改善傾向によって装具の必要性はなくなってゆくと思います。胸椎、腰椎両方にカーブのあるケースは運動による改善の難易度が高いですが運動を正確に行って頂きはっきりと改善傾向が見られました。引き続き運動に取り組んでいただいています。
脳出血後の左半身筋力低下による側弯
70代女性(京都市)もともと15°の側弯をお持ちでしたが、ここ2年の間にカーブが急激に進行し来院されました。(来院時60°)お話を伺うと5年前に脳出血をされておられました。脳出血の跡はMRIで右脳中心に確認され、左手の握力や、左脚の力が入りにくくなっておられました。左半身の筋力低下によってまっすぐに姿勢を保つことができなくなっていると考えました。治療ではまず真っすぐ座り、立つにはどこに力を入れるとよいのかをモニターでご自分の背中を見ながら覚えていただきました。その意識で1週間過ごしていただいた後の姿勢が真ん中の写真です。その後EMSによって働きにくくなっている筋肉を動かすことによってさらに姿勢が改善いたしました(写真右)。動かしやすい右方向に無意識で体を動かすと姿勢が倒れる方向に戻ってゆきますので、ひじ掛けは左を使う等、動かしにくい左方向へ体を動かすよう意識していただいています。
脊髄空洞症と併発した側弯症に対して体幹筋への運動療法を行い改善した1症例
脊髄内の偏位した空洞が体幹筋の機能低下を招きそれが側弯の原因になっているとの報告があります。(13)当院にて脊髄空洞症と側弯症が併発した8歳の患者様に対して体幹筋を中心とした運動療法を行いレントゲン画像上6か月で7度の改善が見られました。脊髄空洞症と併発する側弯症は脊髄空洞の自然寛解とともに改善することもある一方、側弯が進行しやすく脊髄空洞がない場合に比べて手術になる例が2倍になるとの報告があります(11)。本症例は脊柱トレーニング研究会学術集会にて症例報告をさせていただきました。脊髄空洞症と側弯症が併発されている患者様は是非ご相談ください。遠方の患者様はオンラインで見させていただけます。
パーキンソン病と併発した側弯症が運動療法により改善傾向を示している1症例
パーキンソン病で右手足の動かしにくさがあり胸腰部の右凸の側弯が酷くなってこられていた患者様です。右の体幹筋の筋力低下により姿勢が崩れてきていると考え、運動療法、EMS治療を行わせていただいています。右の体幹筋にEMSによって刺激を入れると姿勢が改善し、その改善した姿勢でトレッドミルやスクワット、ランジ等様々な運動を行って頂いています。レントゲン画像で軸の改善が見られ、ベッドへ横になる起き上がる、歩く等の日常動作が明らかに良くなられました。先日は台湾へ旅行へ行かれて、たくさん歩かれさらにお元気になられました。
シュロス法とは
シュロス法とは側弯症に特化した運動療法で、ドイツで考案され発展してきました。シュロス法による側弯症の改善は海外でも国内でも報告されています(6)(7)。腰椎の前弯を回復させることが側弯の改善に重要であるとしており(3)、患者自身が側弯と逆の形になるよう体を動かします。ローテーショナルブリーズという特有の呼吸で肋骨を動かし、肋骨と関節する胸椎のカーブを改善するよう運動します。
シュロスベストプラクティスという一連の運動療法は、複雑な運動療法であるシュロス法をシンプルに患者が家でもできるように改良されたものです。
シュロス法の最も進化した形-シュロスベストプラクティス―
シュロスベストプラクティスでは
1.腰椎の前弯を回復すること(脊柱の前後方向の弯曲の再形成)
2.骨盤の側方変位の矯正
3.胸椎、腰椎の側方の弯曲を反対にする体の動きを賦活、促通、習慣化させること
4.呼吸法により肋骨と椎体の回旋を矯正すること
を行います。
ご自分のお背中を見ながら運動をしていただきますので、どう体を動かすと側弯を減少させることができるのかよくわかっていただけます。女性ですとおおよそ18歳で骨の成長が止まります。その時にコブ角30°以下ですとそれ以降側弯がひどくなってゆく可能性は非常に少ないとされています。骨の成長が止まるまでにできるだけコブ角を減少させることが重要で、18歳前後にコブ角30°以下が一つの治療のゴールとなります。
シュロスベストプラクティス、側弯トレーニング、SEASの認定を受けています
シュロスベストプラクティスは麹町白石接骨院にて白石洋介先生、石原知以子先生のご指導を受けております。理学療法士中村尚人先生主宰の側弯トレーニングは、久世佳典先生、イタリアの運動療法SEASはISICOのMichelle Romano先生の指導を受けています。滋賀県ではどれも唯一の認定セラピストです。それぞれの運動療法の長所をいかした運動療法を提供いたします。守山、草津、野洲、栗東、湖南などの近隣、大津、近江八幡、甲賀、彦根、長浜、日野、宇治、京都、大阪、三重、愛知、奈良などの遠方よりもお越しいただいています
脊柱トレーニング研究会にて症例報告を行いました
側弯には、側弯を減少させる姿勢、助長する姿勢があります
ただ経過を観察しているだけではなく、側弯を減少させる姿勢、動きを知って、日常生活の中でできるだけその姿勢を意識して過ごすことが非常に大切です。腰椎が後弯すると腰椎が体の後ろ側に寄り、体重をより筋肉で支えないといけなくなり不安定になります。骨盤を前傾、腰椎を前弯させることで体重をより安定して支えることができるようになります。
装具をされている方も運動療法が必要です
装具を外したときに時間とともに矯正されたコブ角が戻ってしまうことが報告されています(5)。装具と運動をともに行うことで、装具によって改善された姿勢を自分の筋力で保つよう運動療法を一緒に行うことが大切です。(8)手術を行うのでも、少しでも固定範囲を狭くできるようその前に運動療法を行うことはとても重要な事です。
複合高周波EMSトレーニング(電気的筋刺激)
側臥位になり枕などを利用して側弯を減少させよい脊柱の配列を作り、その状態で筋肉を電気的に刺激して運動させるEMSトレーニングを行っています。無意識でもよい姿勢になるよう側弯のない状態で筋肉を運動させる刺激を入れることが非常に重要だと考えています。
特発性側弯症では身長が伸びるときに側弯が急激に進行することが知られています。また側弯の進行が落ち着いてから、年齢を重ね、筋力が落ち姿勢が悪くなった時に側弯が進行するケースがあります。側弯を防ぐ姿勢を意識し、側弯を助長する姿勢をできるだけしないよう意識することが大切です。脚の長さ、姿勢、柔軟性等の計測、問診を行い、お体の状態、原因と考えられる要素などをご説明して、運動療法に入ります。
治療目標、通院期間、頻度
患者様個々のケースで様々ですが、カーブが軽微であるとき、その側弯を助長する習慣的な姿勢動きがあればそれをなくし、体幹の軸をまっすぐにする運動を正しく自分でできるようになっていただいています。カーブの角度が大きいときは院でEMSによってカーブを緩やかにし、家でのエクササイズや、原因動作をしないようにすることの併用で治療させていただいています。EMS治療は週に1か2回、エクササイズを正しくできるように最初は週1回程度のの通院が必要です。遠方で何度も来られない方は初診時来ていただいたときに時間を延長してエクササイズをある程度できるようになっていただき、その後はラインやズームで正しくできているかを見させていただくことができます。また初診でもズームで診させて頂くこともできますのでお問合せください。
料金
| 初診(45分) | 6000円(税込) |
| 再診(30分) | 4000円(税込) |
| EMS治療 | 1000円(税込) |
| 時間延長(15分) | 2000円(税込) |
| ズーム(15分) | 2500円(税込) |
レントゲン画像をお持ちの方はご持参ください。事前に画像を以下の公式ラインアカウントまでお送りいただけますと初診時お体の状態を詳しくご説明いたします。
参考文献
(1) Ueno M, Takaso M,Nakazawa T,et al A 5-year epidemiological study on the prevalence rate of idiopathic scoliosis in Tokyo:school screening of more than 250,000 children.J Orthop Sci 2011;16:1-6
(2) 杉田 潔、高校生の脊柱側弯に関する疫学研究 日本公衛誌 2000;第47巻:第4号:320-325
(3) Weiss HR, Improving excellence in scoliosis rehabilitation: A controlled study of matched pairs. Pediatr Rehabilitation 2006;9(3):190-200
(4) 石原 知以子、白石 洋介 思春期特発性脊柱側弯症に対する最新の保存療法 保健医療研究 2019;9(1):1-10
(5) 石谷栄一他 当センターにおける思春期特発性脊柱側弯症に対する装具治療成績 整形外科と災害外科 1995;44(3):1066-1069
(6) 宮澤 拓、斎藤 雅史他 思春期側弯症に対する運動療法の有効性 日本スポーツリハビリテーション学会誌 2020; 9:13-19
(7) Kuru T, Yeldan I, Dereli E, et al The efficacy of three-dimensional Schroth exercise in adolescent idiopathic scoliosis: a randomized controlled clinical trial Clinical Rehabilitation 2015;30(2):181-190
(8) 瀬本 喜啓 特発性側弯症の保存的治療(入門編)
(9) Nao Otomo, Hsing-Fang Lu, Masaru Koido, et al, Polygenic risk score of adolescent idiopathic scoliosis for potential clinic use
, Journal of Bone and Mineral Reasearch, 10.1002/jbmr4324
(10)中原 大志、米澤 郁穂他 脊髄空洞症を併発した脊柱側弯症の検討 J. Spine Res.1:1973-1976,2010
(11)井上 雅敏、鳥飼 英久他 いわゆる特発性側弯患者におけるMRI異常ー脊髄空洞症、Arnold-Chiari奇形の頻度と側弯症治療への影響ー J. Spine Res. Vol.10 No.3 2019
(12)渡邉 英明、吉川 一郎他 外来患者での脊柱側弯症に伴う脊髄空洞症の発生率 日小整会誌 22(2):468-471.2013
(13)Isu Toyohiko, Yoshimi Chono, et al, Scoliosis associated with syringomyelia presenting in children, Child’s Nerv Syst (1992) 8:97-100
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